新庄発短信集2013年3月15日

● 3年続けての大雪。そして今年は黄砂の季節でもないのに雪が汚れていて、掘るとまるで年輪のような層になっている。3月になっても山のふもとに ある私の家の周りは2m以上の雪に囲まれている。これから1ヶ月でパイプハウスの雪が消えてくれないと春の作業に大きな支障が出てしまう。村の外灯も町の 明かりも皆消え、時おり車のライトだけの静かな夜。あの日から2年になる。            
【 三原 茂夫 】

● この 冬もよく降った。ピーク時には2mを越える積雪だった。家の前に育苗のために立てるハウス用地に積んでいた“くん炭”を掘り起こしてみたらまだ1.5m位 の厚さがあった。3年続きの豪雪である。 戦前、雪ゆえに南国の人々に比べて経済的に多くの負担を強いられていると、雪害運動が広まり昭和8年、農林省所 轄の積雪地方経済調査所が新庄に設置された(現・雪の里情報館)。農業恐慌、冷害凶作が重なり農村疲弊による小作争議が多発し、やがて戦争へと突き進む昭 和の歴史の中、雪国の暮らしと学問・文化を一つのものにしようとした様々な分野の学者、技術者、文化人と民衆との活動拠点になった、とある。(雪害運動小 史より)
 積雪地方経済調査所の協力を得、新庄を拠点にして映画「馬」(1941)監督・山本嘉次郎、キネマ旬報ベストワンが撮影された。農村の四季を背景に馬の 出産から売られていくまでの農家のくらしを描き、少女時代の高峰秀子が実に生き生きはつらつと演じ、すごく輝いている。監督の山本嘉次郎は戦意高揚の戦争 映画やエノケン映画のため、超多忙で助監督の黒沢明が大半を撮ったとされている。一月ぐらい前山形新聞に医療漫談や俳優として活躍している隣の最上町出身 のケーシー高峰さんが紹介されていて、名前のケーシーは米テレビドラマ「ベン・ケーシー」から、高峰は大ファンだった高峰秀子さんからもらったものだ、と あった。昔数多く主演している映画の中でもこの「馬」での高峰秀子さんが一番好きであったのではないかと勝手に想像する。
最上町は東北有数の馬産地でありロケ地にも選ばれている。新庄から見える出羽富士とも言われている“鳥海山”もフィルムにはっきりと焼きついている。
【 今田 多一 】

● 先日、NHKテレビで「北国からのコンサート」というのがあった。演歌系はあまり好まないのだが、復興支援という言葉につられ見てしまった。
まず「花は咲く」―明日へー(復興支援ソング) でウルウルきた。これはもう条件反射となっている。2年前の3月11日、大地震が起き巨大津波が沿岸部の町を押し流した。被災地出身の歌手が自分の育った 町を思い、自ら作ったふるさとを歌う詩にも心が震えた。それにしても涙腺が弱くなってきたのを思うこのごろだ。
【 むらのじゅうにん 】

●  やはり、TPP交渉の参加は現実になったが問題にされている農産物と国民皆保険制度を関税撤廃の原則から例外として認められるかは疑問だ。交渉をすすめ ている参加国は「すでに決められていることには原則そのまま受け入れ、再交渉はできない。」と言い切っている。遅れて参加したカナダ、メキシコはそれを受 け入れて参加している。最後の参加国であろう日本にそれを拒否する権利があるのだろうか。
 新庄はまだ1m以上の雪が残っていますが、寒くなったり暖かくなったりしながら少しずつ春が近づいているのが分かります。晴れた日は日の光も強くなり春を感じます。もうすぐ種籾の予措(種籾の塩水選・殺菌処理・水漬け)の作業が始まります。
 TPPがどうなろうと春に種を蒔き、秋に稲を刈る。これは変えたくありません。
【 星川 公見 】

● 西というか南の方は桜が咲き出したとか、20℃ちかい陽気だのとテレビが騒いでいる。こっちも日が長くなり、天気の良い日は気持ちも晴れる思いだ。
 農縁米を入れる袋と箱(5kgを除く)に、描かれている天狗の絵は新庄出身の漫画家 富樫義博氏(「幽遊白書」「ハンターハンター」など有名)の作品で“かむてん” 神室山の天狗という。市のイメージキャラクターとして平成6年、4種類のデザインとともに提供された。ゆるキャラがブームとなっているが、さきがけみたい なもの。農縁米、そして新庄、ともにご愛顧を。
【 遠藤 敏信 】

● この冬はいろいろ用が重なり、いま、味噌づくりにかかって います。豆はもちろん糀も自家製。糀の元は“つや姫”と“さわのはな”。手前味噌づくりツアーなどを組んだら興味をもってくれるかしら。来ることができな いまでも、そうして作った味噌を、皆さんは利用してみたいと思うかしら、などと思いつつ仕込んでいるところです。
【 遠藤 信子 】

●  この冬は本当によく冷え、よく降り、よく吹雪いた。屋敷内は今までにないおびただしい量の雪の山があちこちに積みあがっている。天も地も鎮まる事を忘れ てしまったような感になる。11日であの日から丸2年、地震列島に住む私たちには、明日は我が身である。東北電力女川原発に事故があった場合は距離的にも 普通の気圧配置から見る風向きから考えても間違いなく放射能に襲われることとなる為、他人事とはとても思うことができない。原発事故後2年を経て今改めて 振り返ってみると、当初想定外という言葉でゴマカシていたのが次々と想定内であった事が明らかになり、過失とはとても受け取ることはできないし推進してき た側の誰一人として責任を明らかにしたものはいない。
 放射能拡散予測をはじめ、多くの事実を事故後の立地地域住民や国民へ直ちに知らされることはなかった。混乱を招くからとの理由であったが一事が万事と考えれば、「行政や経済界の言うことは信用するな」と自ら言っているようなものである。
 先日の新聞に一人の老人が直売所で500円の商品を万引きして逮捕された、と載っていたが老人はその後間違いなくそれなりの処分を受けるであろう。一方 数えきれないほどの極めて多くの人々の生活のすべてと故郷を奪っておきながら、東電や監督官庁の経産省役人をはじめとする推進側は全くお咎めなし、という ことはどうにも合点がいかないという人は少なくない。
 片やTPPはやはり参加へと走り出した。先の“松下幼稚園”の面々も“阿部のおぼっちゃん”、“石波の戦争オタク”も基本的には何の違いもない。昔誰 だったか財界の男メカケといった人がいたがそんなもんだろう。何の情報開示もなく、特に主権をも脅かすISD条項に関してはメディアも言及するところはな く誰の為に、何の為にという思いだけが強くなる。国民の健康といのちよりも製薬会社の利益を優先した厚労省、庶民のなけなしの資産より金融業界の利益を優 先した大蔵省、諸々の外圧を誘導してきた外務・経産、農地維持のみを考える農水、そして結果、国民の衣食住、健康といのちが脅かされようと誰も責任を取る ことはない。
 こんな恨み節を「これでもか、これでもか」というように降り続く雪にブッツケテこの冬を乗り切った。まだまだ弱音など吐いているヒマなどない。俺は百姓だ。
【 笹 輝美 】
この冬、新庄の最大積雪深は208cm 
    累計積雪量は846cm (11/1~3/14) でした。

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